新年のご挨拶/我が国の政治を一瞬で変える方法がある。
少なくとも我が国の政治システムは、一票の価値格差の是正を除けば、概ねきちんと機能している。不正な投票が行われるとか、開票時になんらかの不正が行われるということは、まず考えられない。政治システムはちゃんと機能している。ただし、政治システムがちゃんと機能しているからといって、その政治システムによって選ばれた国会議員の方々が、ちゃんと機能しているかというと、その話は、また別の話。
そしてもっと大きな問題は、政治は機能していても、その政治にちゃんと参加しているかというと、これもまた別の話になる。直近の、2021年10月31日に行われた第49回衆議院選挙の投票率をみると、平均投票率は55.93%、20歳代の若者たちの投票率にいたっては36.50%である。この傾向は、ここ30年以上変わっていない。考えてみれば、私たち日本人はここ30数年、日本人の半分しか政治に参加してこなかったのだ。“どうせ私一人が投票したって、政治は何も変わらない”という諦めが我が国の国会議員選出の基準になってきたのだ。結果は、衆議院議員465人のうちの131人は世襲議員という結果になっている。
私は、世襲議員がなにも悪いとは言っていない。ただ世襲議員に改革を望むことは、ないものねだりなのだということを言いたいのだ。こうした背景のもとで、我々日本人は、政治が悪い、政治家の質が悪いとか、文句だけは一人前に言ってきた。そして選挙になると“選挙区の皆様、〇〇は、あと一歩でございます”とか言って名前だけを連呼して選挙区を駆け回る議員を冷ややかに横目に見て、投票所に足を運ばない。投票しない。つまり政治システムに参加してこなかったのだ。でも政治、そして政治家の批判はしている。
2024年の年初に不幸にもおこってしまった 「令和6年能登半島地震」、政治家の顔が全く見えなかった。本来なら、イの一番にテレビで伝えなければならなかったことがあったはずだ。少なくとも被災当日に、“直ちに、全国の自衛隊の輸送ヘリコプターの全てを動員してでも水や食料などの援助物質の空輸を直ちに開始します”、と岸田首相は記者会見すべきであった。そして地元の県知事レベルにおいても、“直ちに、支援物質、支援ボランティアの受け入れ態勢を準備しました”、と被災当日に行動を起こしていなければならなかったはずであった。
しかし現実は、いつものことではあるが後手後手に回っている感は否めない。民主主義の最大の利点は、三権分立が補完しあって機能していることである。なかでも立法府の力は、国を変えていく原動力である。“政治が悪い、国会議員の質がわるい、老害議員が足かせになっている”。全てとは言わないが大部分は事実である。今回の能登沖地震の影に「パーティ券裏金疑惑」が覆われそうな状況である。
2024年は国政選挙の年ではないが、日本全国、県知事・都知事選挙、市長選挙、県議会選挙は目白押しである。かつて幕末にあって、我が国の政治の方向性を変えたのは、薩摩藩・長州藩・佐賀藩・土佐藩などの地方の若い下級武士たちのエネルギーの台頭であったことは間違いない。せめて80%台の投票率を実現できれば、とくに36.50%の20歳代の投票率が80%台になれば、政治は雪崩をうって変わるに違いない。
SNSによる情報発信スタイルは、新しい選挙活動システムとしてすでに機能しているのだ。私たち日本人は、この国を変える「打ち出の小槌」を持っているのである。「打ち出の小槌」を振れば我が国の政治を一瞬で変えることは可能なのである。“若者たちよ、投票せよ”
2024年 正月
吉田篤生会計事務所
所長 吉田 篤生
新年のご挨拶/「令和の時代の、大本営発表」
思えば、コロナ報道の始まりは、2020年4月7日に発令された、第一回目の緊急事態宣言だった。2020年4月7日の東京都の新規感染者は87人だった。あの頃、私たちは感染の恐怖に怯え、街は閑散と静まり返り、通勤電車もガラガラだった。そして2回目の緊急事態宣言が2021年1月7日に発令された。東京都の新規感染者数は2447人だった。
この間に、我が国の政府はコロナ対策として国民一人当たり約60万円という77兆円もの補正予算を計上し、全国民に一律10万円を支給した。そしてさらに、コロナワクチンや病床確保に16兆円を支出した。通年の国家予算に匹敵する77兆円を、まるで湯水の如く使った。
そしてあけて2022年12月21日。厚生労働省は東京都の新規感染者数を2万1186人と発表した。2万1186人である。2021年1月7日の2回目の緊急事態宣言前夜の10倍弱もの感染者数が出ているにも関わらず。緊急事態宣言はおろか、マスク着用さえも緩和する方向にある。それどころか「GoToトラベル」を推し進めようとしている。いったいこの3年間のコロナ騒動とは一体何だったのか。新規感染者数87人で発令された緊急事態宣言とは何だったのか。
また、このような摩訶不思議な話は、2011年の夏、東京電力と東北電力管内に出された電力使用制限令においても同じことが言える。「原発が止まっているから電力が足りない」。大規模停電が起きるとして、北関東エリアを計画停電地域と定め電力を止めた。あれはいったい何だったのだ、というのが、国民の多くが思った摩訶不思議だった。
結局のところ、2011年の夏はおろか、あれから10余年が経過した2022年の夏までにおいても、我が国においては大半の原発が停止しているにもかかわらず、大停電は一度も発生していない。それなのに2023年の冬に突然、電力需要が逼迫するから節電をしろという。
そしてマスコミ各社もここぞとばかりに、いわゆる「大本営発表」のごとく。必要十分な検証をすることもなく、政府のいいなりに「コロナ、コロナ、コロナ」ではなく、「節電、節電、節電」とのたまう。
私たちは今、未曾有とも言える情報過飽和状態の社会に生きている。欲しい情報は、スマホを数回タップして検索すれば、あっという間に手にすることができる。もちろん、その情報のすべてとはいわないがフェイク情報が圧倒的であることは疑いの余地がない。
思えば、太平洋戦争時代の大本営発表を信じたがために、私たち国民は正確な情報とは無縁の閉じたフェイク情報の世界で、大本営というか政府にもてあそばれた。この構図は、今も変わりがないのではないか。大手新聞社、大手テレビ局の情報発信の信憑性は、どうなのだろうか。政府が発表する情報を検証することなく、ほぼ丸呑み状態で垂れ流しているのではないだろうか。
2023年は、情報に振り回される方に回るか。それとも情報を振り回す方に回るか。政府のフェイク情報に、SNSなどの、個と個のネットワーク情報を駆使して警鐘を鳴らすことは可能なのである。
2023年は、情報を見極める力を磨く。一つの転機になりそうである
2023年 正月
吉田篤生会計事務所
所長 吉田 篤生
新年のご挨拶
1990年1月の株価暴落を契機として、我が国の経済は長い停滞期に入った。我が国の1人当たりのGDPは1990年代半ばからほとんど上昇していないことが確認できる。また、雇用の流動化が進んだこの30年、日本では平均賃金(424万円)も増えていない。しかし、この現象は、我が国の人口構成を見てみれば当たり前のことかもしれない。我が国の総人口は2008年をピークに減少し続け、生産年齢人口も1995年をピークに減少に転じた。そして2050年には総人口は9,708万人、生産年齢人口(15-64歳)は5,001万人になる見通しだという。
私たちの労働環境は、これからますますIT化が促進され、ロボット導入もさらに導入され、相当部分の知的労働さえもAIにとって代わられることは間違いない。いわゆる厚生労働省が推し進めようとしている「働き方改革」は、この潮流を見据えてのものではあるが、この手の政策で「官」が音頭をとってうまくいったという話はとんと聴いたことがない。と同時に第三次改造内閣の目玉政策として「一億総活躍社会」の実現が掲げられた。「生涯現役社会」の構築と実現である。2022年には「総人口の30%が65歳以上という時代が到来するのである。
しかし内閣府が実施した「高齢者の経済生活に関する意識調査」において、「家計にゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と感じている高齢者の割合は全体で7割を超えており、80歳以上では80.0%と高い割合になっている。じつはこの数字が意味するところが、我が国の穏やかな社会をカタチづくっている原因の一つになっているのではないだろうか。
我が国は、八百万の神々が息づく、世界でも稀有な多神教の国である。国土の大部分が照葉樹林と落葉広葉樹林が混在する森林列島であり、南北に3,500kmという長大な海岸線を有する海洋列島でもある。和辻哲郎氏の著書「風土/人間学的考察」によるまでもなく、高温多湿なモンスーン地帯に居住し、春夏秋冬ごとに回遊してくるさまざまな魚介類に恵まれた生活誌は、今を無事に生きれば、来年も、約束された恵みがやってくるという文明や文化が醸成されてきた国である。
もちろん、約束された恵みは、「正の恵み」ばかりではなく同時に地震や台風や豪雨や洪水、さらには火山爆発という自然災害と背中合わせの、「負の恵み」の脅威に身をさらされてきたことも事実である。自然を畏れ、自然を敬う文明や文化が、私たち日本という国の国民性を培ってきたことは間違いない。2020年は、世界中の様々な国で環境問題(気候変動)・貧困・紛争・人権問題・新型コロナ等の感染症と、多くの課題に直面せざるをえない年になることは間違いない。
2030年を目標に掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)実現のために我が国がどのような役割を果たしていけるか。たとえばコロナ感染禍において、我が国の感染者数は、世界的に見れば、一桁も二桁も低いさざなみレベルの数値である。この事実の凄さに、私たち日本人は、私たちの日本という国の潜在的な国力の可能性にもっと気づくべきではないか。
2022年 正月
吉田篤生会計事務所
所長 吉田 篤生
本年1月に、日経BP社より「慶應義塾大学 大学院 SDM伝説の講義」を出版を致しました。私が、10年間にわたり特別招聘教授として講義した内容をまとめたものです。経営や会計の専門書ではなく、全ての人々の生き方の指針になればと思い出版させて頂きました。1月28日には、アマゾンの売上ランキング一位( マネジメント・人材管理部門)となりました。
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