YOSHIDA ATSUO ACCOUNTING OFFICE

YOSHIDA ATSUO ACCOUNTING OFFICE

ご挨拶

 アメリカ式株主資本主義的経営の下では、社員を会社の経費として見なし、コーポレート・ガバナンスという美辞麗句のもとに、株主の利益を最優先する経営が企業のあるべき経営哲学だという。社員が何よりも大切で、社員が幸せであれば、会社は発展するというかつての日本式経営方式を無条件で支持するわけではないが、少なくとも我が国の工業製品が世界を席巻する国際競争力を培うことができたのは、日本各地に点在する町工場で、世界最高のハイテク製品が生産されているのは、それぞれの町工場で作業にあたっている従業員が、たとえ流れ作業であっても一つ一つの部品の組み立てに製品を育むという気持ちを込めて仕事をこなしてきたからではないだろうか。
 世界の消費者は、日本企業の製品だという理由のみで購入を決めているわけではない。価格が少々高くても、日本人の手でつくられた日本の精神が宿っている製品が欲しいのです。魂が吹き込まれた製品が欲しいのです。これは低価格競争を旨とするグローバル市場化に対する痛烈な警告ではないだろうか。
 安い労働力を求めて海外に工場を立地しても、結局は日本企業の名声を失うことにつながってしまうことは自明です。時代は、「集中と規制と権力」ではなく、「分散と自由と自発性」が三種の神器として鎮座している水平分散型経営の在り様に相転移してしまったのです。水平分散型経営の在り様においては、社員が果たすべき役割の違いはあっても、それぞれの社員が果たしている役割の重さには何ら違いはないのです。

2015年 5月 吉日

吉田篤生 会計事務所
所長 吉田 篤生