YOSHIDA ATSUO ACCOUNTING OFFICE

YOSHIDA ATSUO ACCOUNTING OFFICE

ご挨拶

 アメリカ式株主資本主義的経営の下では、社員を会社の経費として見なし、コーポレート・ガバナンスという美辞麗句のもとに、株主の利益を最優先する経営が企業のあるべき経営哲学だという。社員が何よりも大切で、社員が幸せであれば、会社は発展するというかつての日本式経営方式を無条件で支持するわけではないが、少なくとも我が国の工業製品が世界を席巻する国際競争力を培うことができたのは、日本各地に点在する町工場で、世界最高のハイテク製品が生産されているのは、それぞれの町工場で作業にあたっている従業員が、たとえ流れ作業であっても一つ一つの部品の組み立てに製品を育むという気持ちを込めて仕事をこなしてきたからではないだろうか。
 世界の消費者は、日本企業の製品だという理由のみで購入を決めているわけではない。価格が少々高くても、日本人の手でつくられた日本の精神が宿っている製品が欲しいのです。魂が吹き込まれた製品が欲しいのです。これは低価格競争を旨とするグローバル市場化に対する痛烈な警告ではないだろうか。
 安い労働力を求めて海外に工場を立地しても、結局は日本企業の名声を失うことにつながってしまうことは自明です。時代は、「集中と規制と権力」ではなく、「分散と自由と自発性」が三種の神器として鎮座している水平分散型経営の在り様に相転移してしまったのです。水平分散型経営の在り様においては、社員が果たすべき役割の違いはあっても、それぞれの社員が果たしている役割の重さには何ら違いはないのです。

2015年 5月 吉日

吉田篤生 会計事務所
所長 吉田 篤生

ご挨拶 

 「ゆらぎ」の国、日本。昨年末、突然、降って湧いたかのように行われた「アベノミクス総選挙」。マスコミは、例によって自公の圧勝、325席と騒ぎ立てたが、よく考えてみれば、自公は改選前より2議席増やしただけ。議席を減らしたのは、有象無象化した弱小政党で、進化論の法則どおり自然淘汰されてしまった。民意の「ゆらぎ」は共産党の23議席獲得に、一瞬反映され消えてしまった。また、日本企業の内部留保は、2014年9月末時点で324兆円に達している。企業預金が別に233兆円もあるというのに、内部留保の半分の160兆円が預金に回っているという。
 企業ばかりではない、家計資産においても1600兆円が積み上がり、そのうちの半分が預金である。銀行の貸し出し金利は、過去15年以上1.5%前後で推移しているが、市場にお金が流れない。さらに、数字だけで判断すれば、日本人は持ち家比率が90%、死亡時に2000万円の預金を持っているという。つまり、私たち日本人は、世界一資産がありながら、世界一老後に不安を抱えている民族でもあるのです。
 迷って決断ができないとき、“心がゆらぐ”と表現します。失われた20年、そして失われた30年と、私たち日本人は「ゆらぎ」続けてきたような気がします。しかし「ゆらぎ」とは本来、次の時代へ相転移させるエネルギーなのです。私たちのこの宇宙も、「ゆらぎ」が起点になってポッと生まれたといわれています。はっきりした原因から結果がでてくる、という今までの考え方の枠を破ることです。「結果」は両者を歩み寄らせる間合いの中からゆらゆらと立ち顕れるのです。2015年日本。ゆらぎ、「エラン・ヴィタール(生命の跳躍)」のときです。

2015年 1月 吉日

吉田篤生会計事務所
所長 吉田 篤生

ご挨拶

 私たちの地球社会全体が、飽和状態から過飽和状態へと越えてはならない境界線を越えてしまったような気がしてならない。超大型台風の度重なる発生、かつて経験したことが無い豪雨被害の多発・・・。私たちの地球はいったいどこに向かっていこうとしているのだろうか。温暖化なのか寒冷化なのか。全地球規模での環境の変化は、あるとき突然顕在化する。相転移という現象です。
 たとえば大型の水槽に青色インクを一滴ずつ垂らし続けていったとき、そのときまでは透明の水だったのが、いつものように青色インクを一滴垂らした瞬間に、サッと水槽全体の色が青色に変わってしまう現象です。いったん青色に相転移した水槽の水は、もはや元の透明の水に戻ることはない。
 米国とロシアの両大国の狭間に、中国という13億人の消費意欲に充ちた市場国家が登場した。その中国社会が、かつて我が国が、アメリカのマイホーム映画を見て憧れた三種の神器、新三種の神器を手にするための高度経済成長を望むのは当然の帰結です。環境破壊は加速度的に進みます。化石エネルギーの消費量は想像を絶する莫大な量に達するでしょう。地球全体のタガが緩み始めてしまったのです。他の神を決して受け入れることのない一神教イズムに共生共存的な調和社会の実現、そして民族紛争解決の糸口を見いだすことができるのだろうか。
 東京オリンピックの誘致で日本が世界に示した「おもてなし」イズムは、多神教国家でもある我が国の「和(やわらぎ)」の汎心論として、一つの可能性を示唆することができる気がする。「クオンタム・セルフ」を著したダナー・ゾーハーは、人間意識の覚醒を主題に量子的社会論を提唱した。見えないと思っていた世界から立ち現れてくる事象をどう捉えるか。「空即是色」の世界観の問題でもある。

2014年 9月 吉日

吉田篤生会計事務所
所長 吉田 篤生

ご挨拶

 「東日本大震災3周年追悼式」において、天皇陛下は“国民皆が心を一つにして寄り添っていくことが大切と思います”というお言葉を述べられました。この“寄り添っていく”という言葉こそが、今までがそうであったように、これからにおいても、我が国の在り様の基本とすべき“道”ではないでしょうか。いうまでもなく我が国は、四方八方を海に囲まれ、高温多湿のモンスーン気候のなかで春夏秋冬の四季に恵まれ、そして同時に地震や台風や豪雨や洪水、さらには火山爆発という自然災害と背中合わせの脅威にさらされる風土に根付く国です。自然を恐れ、そして同時に自然を敬うという、共生共存文化が根付く国でもあります。つまり、我が国は世界のどこの国もがうらやむ調和エネルギーが充ちている国なのです。
 例えば、世界で創業200年以上の企業は5,586社あると言われていますが、このうちの半分以上の3,146社が、日本の老舗企業です。地域と寄り添っていく、社員とその家族と寄り添っていく、お客さまと寄り添っていく、そして関連会社のすべてと寄り添っていく。この寄り添っていくという在り様こそが、調和エネルギーの源であり、そこには資本主義の限界に縛られた<善・悪>等の二元論に基づく競争原理が優先するシステムが機能している世界は存在していないのです。かつて業を興すことを支援する銀行という、文字通り名が体を顕した銀行がありました。企業の発展に寄り添っていく銀行の、一つの在り様でした。いまこそ世界に向けて、日本の調和エネルギーを発信していくときではないでしょうか。

2014年 4月 吉日

吉田篤生会計事務所
所長 吉田 篤生

ご挨拶

 昨年、56年ぶりのオリンピック夏季大会が東京に決まった。おそらく2014年の今年から、“オリンピックを成功させよう”というかけ声のもとに2020年のギリギリまでオリンピック関連施設の建設ラッシュが続くことは間違いない。同時に様々な公共インフラ整備や拡張が活況を呈することだろう。
 前回1964年の東京オリンピックでは、オリンピック終了後の10年間(1964年~1974年)で、総人口が1,300万人も増えたのである。オリンピック総経費は、1兆400億円だった。社会資本を充実し、民族精神を高揚させて、高度経済社会へ相転移するための「播種」としては、東京オリンピックは、ある種の「神風」だったに違いない。
 翻ってみて、2020年に開催される夏季大会東京オリンピックでは、オリンピック終了後の10年間(2020年~2030年)で、総人口が860万人も減少する、と予測されているのである。いわゆる「少子・高齢化社会」が本格化するときである。2020年東京オリンピック開催予算は7,340億円、と言われているが、お役所仕事で予算通りにできたためしがない。
 今度のオリンピックは経済発展ための引き金にはならないかもしれない。せめて私たちができることは、当初予定されている7,340億円の予算が闇雲に膨れあがってしまう事態に警鐘を鳴らし続けることではないだろうか。そして2020年東京オリンピックが、たとえば観光立国日本として、地方を巻き込んだ新しい国のカタチを築く礎になって欲しいものである。

2014年 1月 吉日

吉田篤生会計事務所
所長 吉田 篤生