“文明の成熟と人口減退社会の訪れは、人口と資源、あるいは人口と環境など様々な側面で、日本社会が均衡状態に立ち至ったことを意味する”と鬼頭宏氏は、彼の著書「2100年、人口3分の1の日本」で述べている。経済学者シュンペーターは、均衡状態とは沈滞した社会を意味する、と「経済発展の理論」の中で説いている。沈滞した社会を新たに発展させる役割を担うのは起業家であり、その起業家たちがイノベーションを実行し「創造的破壊」をするのである。
世界に先駆けて少子・高齢化と人口減少社会の先頭に立つ日本は、美しい環境づくりを21世紀イノベーションとして、世界の人々が羨むような「美しい国づくり」を目指す絶好の機会とも言えるのではないだろうか。出生率が下がり人口増加が抑制されたのは、我々人類が潜在的に有している“自動調整メカニズム”が無意識のうちに働いた結果ではなかろうか。財政的にも効率がよく、環境負荷の小さなライフスタイルを、もう一つ進んだ次元で調和させた社会。それは経済成長を通じて量的拡大を求める大量消費社会ではなく、精神的な豊かさや生活の質を大切にする未来社会の姿ではないだろうか。少なくとも、その未来社会は日本に遅れて「少子・高齢化社会」が訪れることが約束されている中国やインドのよきモデルとしての未来社会であるべきではないだろうか。
2013年 1月 吉日
吉田篤生会計事務所
所長 吉田 篤生